やっちゃえ!オッサン よしのケンジです。
日本全都道府県を巡るアラウンド47に取り組んでいます。
七尾湾は、皿に張った水ように穏やか。
その海面に、ポンッとかぶせたように建っている物体。
それが、ぼら待ちやぐら。
まるで、湾を進む多足歩行ロボットのコックピットにも見える姿は、海上オブジェか怪鳥の巣かとも形容される奇景をそこに生んでいます。
奇景を生み出す「ぼら待ちやぐら」
(2018年8月初旬の晴れた暑い日)
どこまでも穏やかに広がる七尾湾。
この海に建つ物体をご覧ください。
舟の監視台?
海に幾つもの足を伸ばしている様は、多足歩行ロボットにも見えます。
これが、七尾湾で伝統的に行われているボラ漁で使われる「ぼら待ちやぐら」です。
ぼら待ち網漁
ぼら待ちやぐらは、ぼら待ち網漁で使われる設備です。
原始的な漁法で江戸時代から始まり、かつて七尾湾には多くのやぐらが建っていたということ。
ぼら待ち網漁は、江戸時代から伝わる原始的な漁法で、七、八メートルの丸太ヤグラを組み、その上から海底に張ったフクロ網を見張る、ボラの群れが網に入ると網口の網をたぐり上げて獲るというのんびりした手法です。
ボラは音に敏感で、静かに待たなければならず、光の反射する海面を通して魚影を見つけなければなりません。
藩政時代から続いた穴水湾の伝統漁法で明治二十二年(1889)に当町を訪れた米国人天文学者のハーシヴェル・ローエル(1855〜1916)が「創世記に出てくるノアの大洪水以前に在った掘っ立て小屋の骨組みを、これも有史以前の伝説による怪鳥ロックが巣に選んだ場所」と形容しています。
穴水町
しかし、近年になってこの漁法は廃れてしまいました。
1970年代から急速に減少し、現在は観光用に残されているのみで1996年を最後にこの漁は行われていない。
ぼら待ちやぐらを見てみよう
七尾湾には、いくつか ぼら待ちやぐらが残っています。
今回訪れたのは、根木のぼら待ちやぐらです。
根木のぼら待ちやぐら
根木のぼら待ちやぐらを見るには、「ぼら待ち市場」の建物裏・根木ポケットパークの駐車場を目指しましょう。
駐車場から道を挟んだ反対側に、ぼら待ちやぐらが見えました。
海側は歩道がほとんどありません。
そのため、ぼら待ちやぐらへの入口までは陸側を歩きます。
入口は、この写真の道の先にある青い案内標識の下辺り。
駐車場からの距離約300m
ぼら待ちやぐら、見えた。
やぐらの上には、ぼら待ちする人が再現されています。
往時はこのような光景が、この湾に多く見られたのだろうと思いを巡らせます。
復活!ぼら待ちやぐら
先ほど1996年を最後に途絶えたと紹介した「ぼら待ちやぐらを使った漁」ですが、なんと復活していました。
2013年に、「新崎(にんざき)・志ケ浦地区里海里山推進協議会」という町おこし団体が、伝統漁法を守るため漁に取り組まれています。
効率という観点だけで見ると、決して時間と手間にそぐわない漁なのでしょう。
しかし、昔からの手法が残されるというのは歴史的観点からすると嬉しいことです。
参考:「ボラ待ち櫓漁、豊漁を期待 穴水で準備、15日に開始 2018/05/14 01:52」北陸新聞
根木のぼら待ちやぐらまでのルート
根木のぼら待ちやぐらは、国道249号線沿い。
前記事の見附島からは一旦、能登半島の内陸を県道57号→県道26号→県道303号と進んで、能登空港の脇を抜けるのが最短コースです。
ぼらを食べますか?
古くからぼら待ちやぐらを使った漁が行われていたように、ボラは身近に食べられていた魚です。
刺身や洗いで食べたり、煮物や焼き物と入った料理にしたりと、日本全国で食べられてきました。
卵巣の塩漬けは「からすみ」として、高級珍味ですね。
ボラが自体が臭いのか
そんなボラですが、一部では臭くて美味しくないというメージを持たれています。
僕も子供のころ海に出掛けてボラが釣れた時に、「ボラは臭くて食べられない」と親から言われた記憶があります。
でもこの臭いは、ボラが水質が悪いところで育つことが原因。
更には、ボラの旬である冬になると泥臭さは消えて脂がのるそうです。
そういえば、釣りに行ってのは夏の頃だったような・・・
本当は美味しいボラ
キレイな海や外洋で育った、冬のボラは忘れられない味とも表現されます。
そんなボラを食べて、ぜひボラのイメージを覆したいと思います。
七尾湾ドライブは続く
さて、七尾湾を左に見ながらのドライブを続けましょう。
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